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ルアンパバーン 第一章 お坊さんを辞めた少年

K1

前述の通り6年ぶりのルアンパバーン、到着後、早速散歩に出た。
ナムカーンという川沿いを歩きはじめてすぐに少年が「日本語を勉強して
います」と話しかけてきた。外国で日本語を話す人はちょっと胡散臭いから
「あ、そう、上手だね。じゃあね~」と軽くあしらい、川の写真を撮ったりして
いたら進行方向にまたその少年がいる。面倒くさいし避けようとしたら
「何しているんですか?」「散歩」「私はお坊さんを辞めました」と言う。

ここルアンパバーンは京都と同じようにお寺の街で早朝には大勢の僧侶が
托鉢をして歩く姿が有名だ。そして沢山の子供達が修行を積んでいる。
まだ来たばかりで警戒心も弛んでいないから「本当かな?」と疑りつつ
話しながら歩いていると、日本語はまだ勉強して1年だと言う。
1年でこんなに喋れるんだ??私達日本人は英語を何年勉強してた?
それで全然へたくそだと言うのに・・・彼の名前はK、19歳だというけど
小さくて痩せていて、まだあどけなく、どう見ても15歳くらいにしか
見えない。6年勤めた修行を辞めてビエンチャンに引っ越し、働きながら
高校に1年行った後大学に入るのだと言う。日本語の語学学校にも入る
そうだ。その前にIDカードを取らないとならないそうで、発給待ちの為
ゲストハウスに宿泊していて、今週中に発給次第ビエンチャンに行くと言う。

メコン沿いをぶらぶらと歩いてベンチで休憩し「日本語書ける?」と聞くと
数字や平仮名カタカナを書いてくれた。とても上手。すごいね~。ラオス語で
サバイディー(こんにちは)という文字を教えてもらう。難しい・・・
日本の事にも詳しく、沖縄に行ってみたいと言いながら「涙そうそう」を唄って
くれた。私がイラストレーターだというと自分の顔を描いて、と言うのでささっと
描いて渡すととても喜んでいる。「ご飯食べようか?」と、川沿いに並ぶレストランで
Kが選んだ春雨スープとビールを頼んだ。ビールは初めて飲むと言うから「酔っぱら
っちゃうといけないから沢山飲んじゃダメだよ」とあまり飲ませないように注意した。
ラオスでは飲酒はいくつからという制限はないそうだ。

お坊さんは朝3時半に起きて托鉢に街を歩き、お寺に戻って朝食。ご飯は
昼と2食で夜は食べないのだそうだ。育ち盛りにはキツいだろうな。だから
みんな小さいのだろう。長年の習慣で今も毎日朝3時半に目が覚めてしまうそうだ。
Kは5人兄弟の長男で実家はルアンパバーンから車で30分程の所にある村で
少数民族カム族出身だそうだ。ラオス北部にはカム族、モン族など少数民族が沢山
住んでいる。カム語はラオ語とは言葉が違う。ラオ語、カム語、英語、日本語が
喋れるなんて会話の才能があるんだね。うらやましい。選挙の投票は18からなので
近くある選挙の候補者の写真と経歴を見て自分と同じカム族の候補者だと興奮していた。
選挙にも感心が高いようだ。

Kの泊まっているゲストハウスは私のゲストハウスの向かい側で、なんでも
私の宿に聞いたらラオス人だと言うだけで泊めてくれなかったそうだ。
「同じラオス人なのに、お金がないだろうからって泊めないなんてひどいです」
向かい側の宿はとても親切で「いいよいいよ、私の子供と同じだよ」と
ご飯も食べさせてくれて洗濯もしてくれるのだそう。私の宿は日本人に人気
で、私は日本人宿が嫌いなので(日本人同士つるむから)それは気に
入らないのだけど、リバーサイドの部屋からはナムカーンが見えて、部屋も
きれいだし、庭にテーブルがあってくつろげるし、ファミリーで経営して
いるのでフレンドリーで6年前にたまたま客引きに連れられてきた時に
とても気に入ったのだ。「外国人には親切でラオス人には冷たいなんてひどい
です」と、Kはすごく怒っていて、確かにひどいよね。それに6年前よりも
感じ悪くなっているのは確かだ。儲かっているようだしすれた感じだ。
「明日の朝5時に私の友達が托鉢に通ります」と言うので朝5時に約束して
別れる。最初は警戒してたけど、Kはどうやら真面目で純朴な少年だ。
来て早々になんだか面白い展開になった。 つづく

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COMMENT 2

アリー  2011, 05. 04 [Wed] 02:57

出だしから、またオモシロそうな展開だね!
続編、楽しみです。

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a92  2011, 05. 04 [Wed] 18:48

そうなの。到着してすぐに始まり先はまだまだ
長いのであります。

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