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先日ジョン・ルーリーのドローイング展に行った。
ジョン・ルーリーと言えば「ストレンジャー　ザン　パラダイス」をはじめとする
ジム・ジャームッシュ作品に出演、ラウンジリザースというバンドでの活動、
「フィッシング　ウイズ　ジョン」というTV番組など、あの長身で飄々とした姿が
印象的だ。

私が初めて「ストレンジャー　ザン　パラダイス」を目にしたのはブルータスの
試写会で、なんだかよくわからないけどおもしろそうだと何の予備知識もなく
観に行きそれまで観た事もない淡々とした内容、ワンカットごとの黒い間と色が
飛んでしまったようなモノクロ映画に、それはものすごい衝撃を受け、心は
すっかりニューヨークに向いたのであった。
ジョン・ルーリーはハンガリーのブダペストから来た青年役で友人にはそれを
隠していたのだが、いとこが突然彼を訪ねてハンガリーからやってきて、クール
な彼女になんだか振り回されて最後は早とちりでブダペストに飛んで行ってしまう。
というそれだけのストーリーで、「ブダペスト」という響きが長年私の頭の中
にあり、一昨年ブダペストに訪れた時にはここがあの「ブダペスト」なんだ
よね・・・と思ったけど、２５年くらい前の共産国であったハンガリーと現在の
ハンガリーは全然違うのでありました。

そんなジョン・ルーリーの展覧会、実は彼は今、難病を患い俳優、音楽活動から
離れて絵を描き出したのだそうだ。難病ってどうしてしまったのだろう？と、
気になり調べたところライム病という病に罹っているそうで、ライム病って
なんだろ？とウィキを見たら、マダニに刺されて媒介されるそう。ダニに刺され
たらピンセットや毛抜きでダニの頭か口を挟んでまっすぐ引き抜くように、って
ダニの事なめたらいかんよ～！！怖いねー。うちの犬がダニに刺されてた時の事
思い出しましたよ。あの時はうまく取れなかったんで、結構難しいと思いますよ。

「フィッシング　ウイズ　ジョン」という番組はDVDにもなっていて、ジョンが
友達を誘って（Jジャームッシュ、Mディロン、Tウェイツ、Dホッパーという
おなじみの顔ぶれ）いろいろな国に釣りに出かけてこれもまた飄々とした力の
抜けた番組なのだが、釣りが趣味だったからどこかの草むらで刺されちゃったん
じゃないの～？と推測する。マダニ怖い～～！！

で、肝心の展覧会は・・・
すご～～～～～くよかった。
１０年に一度の拾いものってくらい、これから先もずっと好きだと思う。
１５年くらい前にNYのMOMAでバスキア回顧展がたまたま開かれていて、
初めてバスキアを観たとき以上によかった。ちょっと稚拙ででもすごく上手、
色もきれい、観ていてセツ（セツモードセミナー）に行っていた頃をすごく
思い出した。セツっぽい絵なのだ。セツ先生が生きていたらきっと「う！！
このうんこ色きれい！！」って誉めただろうな。(長沢セツ先生はまるで子供と
同じでうんことかおしっことか言うのが大好きで水彩画の合評会があると必ず
「何だ～この絵は、これがうんこで・・・」と勝手に解釈しては「う！
（う！っていつも言う）きれい！！A ! !」と採点してくれたものだ）

そしてタイトルがどれも長くて上の写真の絵は「YOU ARE HERE」これはまだ短い。
「あきらめろ、アメリカ人は武器を持つ権利がある」こう書くと物騒に思えるけど
その武器はどれも熊の手なのだ。
「私のアパートには毛皮の検査をしている原始人が住んでいる。出て行ってくれると
いいのだが」
「いかりがささって、私はどこにも行けない。サンドイッチの時間になった」
という詩のようなシュールなもので素敵だ。私は↑写真の絵が色もいいし
可愛いしタイトルもいいしすごく好きだけど他には鳥の絵も多くてそれらもいい。
絵を観ていると鬱屈した彼の今の状況を重くそれでいて軽く感じさせられる
パーソナリティーそのものが現れている。それにしても多彩な才能とセンスを
持つ人だと感心させられるばかり。今後ももっと沢山の作品を観たい！

ジョン・ルーリー展　ドローイング　はワタリウム美術館で５／１６まで開催中です。